お年寄りのがんのコーナー
★ はじめに
「若い方」(還暦前、あるいは高齢者でない、場合によっては後期高齢者でない=お年寄りではない)を対象に、がんの治癒方法を「がんのコーナー」で述べましたが、もう若くはない「お年寄り」には、健やかに死んでいける「がん死」は望むべきものと思われます。
といいますのは、がんは老化現象の現れとして出来てくる面を持っていますから、超高齢者ともなると大半の方にがんが出来ていて、「老衰死」と判定される場合も、けっこう「がん死」であることが多いと考えられるからです。
よって、「お年寄り」の場合は、がんを恐れる必要はどこにもなく、がんと仲良く付き合い、最期はがん死であるほうが幸せとなります。
このコーナーでは、そのことについて述べることとします。
なお、記事の多くは、中村仁一氏の著「大往生したかったら医療とかかわるな」から引用し要約したものです。
★ 寝たきり老人がほとんどいない欧米
2、30年前に比べ、西欧では老人介護の仕方がガラリと変わったようで、これにより、老人ホームのお年寄りはいつまでも生き生きしているようです。
そして、驚くことに、寝たきり老人はほとんどいないのです。
これは、米国でも同様のようで、日本の実情とあまりにも違います。
その辺りの概要を紹介したのが次の記事です。
寝たきり老人をなくす術(三宅薬品:生涯現役新聞N0.239)
★ 自然死のすすめ
欧米で寝たきり老人がほとんどいない、その原因は、死生観の違いにもよるでしょうが、人間の尊厳というものを考えたとき、寝たきりにさせて様々な延命治療を施し、無理やり長生きさせるのは考えものです。
もうダメだなと死期が迫ってきたと思われたら、欧米のように自然死(これは老衰死でもあるのです)させるのが理想的です。
自然死、これはいわゆる“餓死”ですが、何の苦しみもないことを、中村仁一氏がその著「大往生したかったら医療とかかわるな」の中で、詳細に説明されていますが、ポイントは次の4つです。
「飢餓」……脳内にモルヒネ様物質が分泌される
「脱水」……意識レベルが下がる
「酸欠状態」……脳内にモルヒネ様物質が分泌される
「炭酸ガス貯留」……麻酔作用あり
これらによって、自然死の死に際は、夢うつつの気持ちのいい、穏やかな状態になれるというものです。痛みも苦しみもない世界なのです。
このことについて、概要説明したのが次の記事です。
★ 楽に死ぬにはがんに限る
がんの末期は、痛むもの・苦しいものという観念を日本人は持っていますが、これは全くの間違いで、抗がん剤などの無意味な治療をしなければ、ほとんど痛みを伴わないのががん死の特徴です。
そして、死期の近くまで、わりと意識がしっかりしています。
このことについて、概要説明したのが次の記事です。
★ がん検診、早期発見の不幸・手遅れの幸せ
がん検診で精密検査と判定されたときの不安感や、がん検診でがんが見つかってがんを切除した後の再発の不安感は、相当のものがあります。
そして、がん治療となると、外科手術・抗がん剤・放射線照射で苦しまねばならず、寝たきりにさせられたり、死期を早めることになりかねません。
がんを放置して塊が大きくなっても、ほとんど痛まないですし、ずっと自立生活ができるのですから、がんと仲良く付き合っていけばいいのです。
よって、お年寄りのがん検診は全く不要なものとなります。
かつ、体が弱ってきて診察を受け、そこで余命〇月と宣告された手遅れの状態であっても、その時点では自立できていることが多く、残りの期間にやり残したことを計画的に行うこともできます。
このことについて、概要説明したのが次の記事です。
★ 余命宣告されたがんを放置すると治ってしまう例も
中村氏も著書の中で例を挙げておられましたが、「手遅れの幸せ」を感ずるとがんの進行が遅れ、宣告期間以上に生き長らえることがあるようです。
このことについては、下記の記事で紹介しましたように、生活週間ががらりと変わり、ストレスが大幅に減り、かつ、生命力が十分に残っているお年寄りの方の場合は、がんは萎縮の方向に向かい、時には消滅してしまうことも多々あるようです。
がんを治すには肩の力を抜くにかぎります:ただしい人からたのしいヒトへ(小林正観著)の紹介
このように、「手遅れの幸せ」を感ずると、なかなか「がん死」できなってしまうのですから、がんは不思議なものです。
やはり、がんは多分に精神的ストレスから来ていると考えざるを得ません。
なお、この場合も、その後、年齢を重ねて生命力が落ちていくと、再びがんが成長しはじめ、楽に「がん死」できるようです。
お年寄りのほとんどの方は、“がんにだけは罹りたくない、別の病気で死にたい”と願っておられますが、「一切のがん治療を受けない」ことにすれば、がんほど安楽に死ねる病はなく、“自分はがんに罹って自然死したい”となります。
高齢者となった小生も、節にこれを願っているところです。
かなりの長文を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
「お年寄りのがんのコーナー」はここまでです。
記事掲載:2014.12.1