乳幼児のアトピー
● はじめに
アトピーのコーナーで、子供から大人まで全般について説明しましたので、まずそれをお読みいただき、アトピーの真の原因、根本的治療法を頭に置いといていただきたいです。それから、このページをお読みください。
乳幼児については、その未熟性がゆえに治療法が若干違ってきますので、その相違点に重点を置いて、ここで説明し、また、アトピー第1世代(母親はアトピーでない)と第2世代(母親もアトピー)では対処法が異なりますので、その点を明記することにします。
● 乳児アトピーの発症原因
全般のページで説明したのと同様に「細菌の体内寄生」です。
繰り返しになりますが、侵入経路も主に腸そして喉からで、粘膜に常在する細菌が体内へ大量に侵入し、全身の細胞内へ潜り込んで、体内細胞に存在する小器官ミトコンドリアによって生産されるエネルギー(エネルギーの95%はミトコンドリアが生産)を横取りすることにより、低体温になって発症します。
ことのほかアトピー患者が多い日本です。世界一と言えます。そうなったのは実は育児法に誤りがあり、それがいまだ改善されていないからです。
戦後の育児法として、1965年以降、米国の「スポック博士育児法」が順次取られるようになり、離乳を急がせることになりました。それが、1970年代には米国で問題が発生し、米国ではこの育児法はボツになったのです。
しかし、なぜか日本では1980年になって厚生省がこれを全面採択し、現在に至っているのです。ことアトピーに限らず、病気を治すのではなくて病人づくりをするのが厚生労働省の本質的な姿と考えたほうがいいくらいです。
早期離乳をさせると、2つの問題が出てきます。
一つは「未熟な腸壁からの細菌体内侵入」で、もう一つは「口呼吸による喉からの細菌体内侵入」です。
1 未熟な腸壁からの細菌体内侵入
腸壁が何とか一人前になり、雑菌や異物(未消化のたんぱく質など)の体内侵入を防ぐことができるようになるのは5歳からとも言われています。
よって、本来は3、4歳まで母乳だけで育てるのが望ましいのです。現代社会では、それは無理な話ですが、1歳にもならないうちに離乳させて離乳食に切り替えると、腸はまだまだ未熟ですから、炎症を起こしたりして雑菌や異物そして腸内細菌をも侵入させてしまう危険性があります。加えて、冷たい物を好むからといって氷水などを与えれば、ひとたまりもないことでしょう。
2 口呼吸による喉からの細菌体内侵入
母乳にしろミルクにしろ、赤ちゃんは口をすぼめて乳首を吸います。これを2年3年と毎日繰り返していれば、鼻呼吸を習慣化させることができます。
それが、早期離乳させると、口をあんぐり開けて離乳食を丸飲み込みするしかないですから、自ずと口呼吸になってしまう傾向にあります。
こうなると、喉が乾燥し、喉からの細菌体内侵入を容易にしてしまうのです。
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乳幼児アトピーの根本的治療法
原因が解明されれば、根本的な治療法が自ずと決まります。
全般のページで、水際作戦として次の2つを提示しました。
① 冷たいもの中毒から脱却し、腸壁を健全にすること
② 口呼吸を鼻呼吸に変え、口腔鼻腔粘膜を健全にすること
①については、乳幼児の場合は次のようになります。
<冷たいもの中毒からの脱却>
冷たいものは絶対に与えず、できれば体温より少し温度が高いものにする。
<腸壁を健全にする>
乳児にとって腸に一番やさしいのは何といっても母乳で、母乳が出なかったり不足する場合は育児用ミルクで代用します。
そして、離乳食に少しずつ切り替えるのは、遅ければ遅いほどよいということになります。西原克成氏によれば、2歳半ぐらいまではそうして、その後に純白米の重湯、次にそのお粥と進めていくべきとのことです。
なお、大人が食べるものを早々に幼児に与えるのは努めて避けねばなりません。特に、2歳半までに絶対与えてはならないのは、「刺身、生のハチミツ、ピーナッツバター、そば、うどん」が代表的なものです。
それらの食品に含まれるたんぱく質の一部が必ず未消化となり、未消化物が体内侵入することになって、そのたんぱく質はやがて抗原となり、食物アレルギーを引き起こすことになってしまいます。
加えて、刺身、生のハチミツには雑菌がいっぱい取り付いていますから、幼いがゆえに不完全な腸壁から雑菌の体内侵入を許し、免疫力も充分に備わっていませんから、様々な疾病を引き起こす原因になります。
②については、乳幼児の場合は次のようになります。
これは実に簡単なことで、おしゃぶりを常時くわえさせておくことです。
その使用期間は3、4歳までです。できれば5歳までおしゃぶりをくわえさせていると、口呼吸が完成します。
これについては、欧州各国で徹底されており、おしゃぶりは確実に口呼吸を防げますから、アトピーの発症は欧州では格段に少ないです。
ここで、第2世代(母親もアトピー)のアトピーについては、以上の説明と全く異なる点がありますので、以下の事項に十分ご注意ください。
乳児には母乳が一番と申しましたが、母乳を与えてはいけないのです。
母親がアトピーであれば、妊娠中に腸内細菌が体中にばら撒かれ、胎児もアトピーになり、生まれた赤ちゃんは低体温で、腸壁がことのほか脆弱です。
そして、アトピーの母親は往々にして腸壁から雑菌がどれだけかは体内侵入しており、この雑菌が母乳に混入することになります。その母乳を赤ちゃんが飲むと、赤ちゃんの腸壁を素通りして体内侵入し、様々な疾病を引き起こす原因になります。
よって、育児用ミルクを使うしかないのです。
次に、ミトコンドリアのエネルギーが横取りされないよう、寄生している細菌を追い出す方策ですが、小学生ぐらい以上であれば、全般について説明しました健全な白血球を作るため、十分に体の骨休めをすることが求められますが、乳幼児には毎日これができているでしょうから、年齢を積み重ねることによる免疫力の自然増強を待つしかないでしょう。
なお、全般について説明しましたように、ミトコンドリアを活性化させるには、太陽光線に当たるのが一番ですから、皮膚の炎症箇所の位置や度合いにもよりますが、可能な限り、毎日お日様に当ててあげたいものです。西原氏は朝日に当たるのが良いと言っておられます。
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かわいい子には冷水浴を
全般のページで説明したとおり、アトピーの炎症を即効的に鎮めてくれるのはステロイドで、そのステロイドを自前で調達してくれる副腎を強化せねばなりません。その方法は、唯一「皮膚への寒冷刺激」です。
この方策は、大人より子供の方がずっと効果が高いですから、アトピーっ子には絶対におすすめします。
ある程度の物心が付いておれば話せば分かってくれるでしょうが、親が一緒に入浴し、「水かぶり」の見本を見せるべきでしょう。自分は健康だと思っておられる方であっても、これを行えばより健康になり、風邪もうんと引きにくくなりますから、親子全員「医者知らず」になりましょう。
ただし、いきなりの冷水では怖がったり風呂嫌いになったりしますから、ぬるま湯からだんだん慣らしていくといいです。
赤ちゃんの場合も同様ですが、低体温になっていますので、まずは十分に体を温めてあげてから、より慎重に行い、湯船に浸かる前の最初の冷水はカットしたほうが無難でしょうね。
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乳幼児アトピーの対症療法
全般のページで説明したとおり 1:保湿、2:皮脂の保持、3:酸性の維持 の3点が肝要です。
なお、ベビーバスが使えるようであれば、高品質の保湿入浴剤をしっかり使いたいです。
そして、4:十分なミネラル補給 についてもおすすめしたいのですが、年齢によって所要量がかなり違いますから、投与量に注意する必要があります。
投与量の目安は各年齢の所要量(※)を上限とすべきでしょう。過剰摂取は副作用を伴うことがありますからね。最初は3割程度から始めるのが無難で、日にちをかけて安全確認をしつつ、投与量を増やされるとよいでしょう。また、総合ミネラル剤は錠剤になっていますから、離乳食を与えて良い年齢以上の場合においてのみ投与することとし、よく砕いて混ぜ込むこととします。
(※)参考資料:厚労省:第6次改訂日本人の栄養所要量について
(少々古いデータですが、現在のものと大差なく、これが一番見やすいですから、これをミネラル所要量の参考になさってください。)
かなりの長文を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
「乳幼児のアトピー」はここまでです。
記事掲載:2015.1.15